個人投資家のスイスフラン買い・円売りがじわりと膨らんでいます。欧州債務問題の広がりを受けて対円でフラン安が進行。逆張りを好む個人はフランを買い進めてきました。スイス国立銀行 のフラン売り介入が長くは続かないという思惑も働いているようです。
フランの対円相場は現在1スイスフラン=183円台前後。3月中旬には92円台の高値圏で推移していました。外為どっとコムによると、個人の「フラン買い・円売り」持ち高は約1,185万スイスフラン(15日現在)。3月に比べて2倍程度に膨らんでいます。
一方、今月に入ってフランはやや値を戻しています。1日には直近安値の79円台半ばを付けました。通常の逆張り取引であれば買い持ち高は減る。だがフラン高が進むと見込む個人が売り戻しを手控えているようです。
昨年9月、スイス中銀はフランのユーロに対する上限を1ユーロ=1.20スイスフランに設定し、自国通貨高阻上のために無制限に介入する方針を打ち出しそれは事実上の固定相場制の導入でした。
フラン売り介入は継続しているとみられ、足元の対ユーロ相場は上限に近い水準に張り付いています。しかしスイスの外貨準備高は高水準に積み上がり、市場では介入がずっと続くか懐疑的な見方が根強いです。
一部の個人投資家はフラン高を見越して買いを入れており、対ユーロで上限を突破した場合、フランは対円でも急騰すると読んだ動きが出ているもようです。
もっともオーストラリアドルなどに比ベフランの取引量は低調です。低金利ゆえに金利収益を狙った取引が膨らみにくいためです。スイス中銀が上限設定を発表した際にフランは対円でも急落し、その後のじり安で損失確定を迫られた個人が多かったようです。この記憶が残るためフランを敬遠する個人も多いのが現状です。
(参考:日経新聞)