英ポンドが個人投資家の間でじわりと人気を集めているようです。依然、欧州債務問題でユーロの先行きに不透明感が強まるなか、ポンドは相対的に安定感があるとの見方が増えているためです。また、あと1ヶ月余りとなった「ロンドン五輪」が間近に迫っていることも個人の関心を高めている要因の一つでしょう。
くりっく365の5月の売買高をみると、全通貨ペアに占める「ポンド・円」の比率が7.6%となりました。狭い範囲の値動きにとどまった「ドル・円」から投資資金が移り、1月の6.0%から上昇しました。
個人は円を売って外貨を買う傾向が強いですが、最近ではギリシャの政局やスペイン金融問題への不安から新規のユーロ買いに及び腰の傾向があります。同じ欧州通貨でもポンドは買い安心感があるようです。
ユー口安の影響でポンドは対円で下落基調にありますが、ポンド・円取引に占めるポンド買い・円売りの比率は上昇しています。
ポンド買いを誘うもう一つの理由がロンドン五輪でしょう。7月27日の開幕を前に、五輪への期待が高まり、ポンド買いを誘いやすいのは当然あるでしょう。一部のFX会社は、五輪開幕に向けてポンボの取引を促すキャンペーンを検討しているようです。
もっとも期待先行のポンド買いには危うさも潜んでいます。英国は1~3月期まで2四半期連続でマイナス成長となり、市場では景気後退局面に入ったとの認識が強いです。
欧州不安の影響で景気が一段と落ち込めば、英中央銀行は金融緩和に動かざるを得ないと予測されています。投資の前に冷静なファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)の分析は必要不可欠ですよ。
(参考:日経新聞)