ファンダメンタル分析と対を成す分析手法が『テクニカル分析』です。
テクニカル分析を端的にあらわすと、過去の値動きをチャートというグラフで表し、今後の展開を予想するというものです。
そしてこの「テクニカル分析」は以下の三つ前提条件があって成り立っています。
- ・【前提1】市場の動きは全ての材料を織り込んでいる
- ・【前提2】価格の動きはトレンドを形成する
- ・【前提3】歴史は繰り返す
チャートというものは値動きだけを機械的に追いかけたものではありますが、そのバックボーンにはあるのは為替取引という人間の心理に基づいた行動です。 市場参加者の心理はいつの時代も普遍的であることを前提に「過去に似たような局面があれば、その後の展開も似かよったものになる」というのが基本的な考え方です。
テクニカル分析のメリットは、ファンダメンタル分析と違って、経済に関する情報や知識などがそれほど必要としない点です。
FX(外国為替市場)では、マクロ経済の統計や世界的ニュースなど、基本的には誰でも入手できる材料で変動する公正な市場ですが、こうした材料を全て確認するのは大変な作業です。 テクニカル分析では、こうした材料は全てこれまでの値動きの中に織り込まれているとし、そうした値動きのパターンを研究し、今後に備えようというものです。
また、誰でも入手可能と言っても、入手までのスピードという面においては、一般の個人投資家とプロのトレーダーとの間では差があることは厳然たる事実です。 しかし、値動きの情報だけ限っていうと、一般ユーザーでもプロとレーダーでも条件は平等です。 要は、立場の差ではなく、最終的にはそれぞれの分析能力の差が、勝率の差として結果になるでしょう。
しかし、テクニカル分析にも限界があります。それは、前述の前提となる三つの条件について、「実際の相場が完全にあてはまるとは言えないこと」「稀有な状況が発生した場合は対応が難しくなること」などです。 また、大きな経済指標の発表や世界的なニュースなどがあった場合は、テクニカル分析だけでは初動が遅くなるというマイナス要素もあります。
なお、テクニカル分析には、大きく分けると二つのパターンがあり、 一つは『トレンド系』、もう一つは『オシレータ系』といわれるものです。それぞれについて簡単に解説しておきます。
●「トレンド系」……市場全体の流れでその方向性を決めること。相場が上下する時は、一方向に一気に進むのではなく、 細かい上下動を繰り返し、結果「上がっていた」「下がっていた」という場合が多くあります。 そのため、瞬間瞬間の値動きを細かく追いすぎると、市場の流れがどちらに向いているかわからなくなってしまうのです。 値動きを平準化するなどして、相場の方向性を見ていくのが『トレンド系』のテクニカル分析です。 代表的なものに、トレンドライン分析や移動平均線、一目均衡表などがあります。
●「オシレータ系」……市場の過熱感やそのトレンドの強さを利用するもの。トレンドにのって投資することが取引の基本ですが、 流行りというものはいつかわ終わりを迎え、そして今までとは逆方向に進みだします。 こうしたトレンドの変化の兆しを敏感に察知していこうというのが、『オシレータ系』のテクニカル分析の特徴です。代表的なものに、MACDなどがあります。
前述の通り、どちらか一方のテクニカル分析のみに特化するのでなく、それぞれの投資スタイルに合わせて、いくつかのテクニカル分析を組み合わせていくことをおすすめします。 例えば、トレンド系分析によりポジションを作成し、その決済のタイミングをオシレータ系分析で計測するというように、いくつかの手法を使い分ける姿勢が有効です。