『ファンダメンタル分析』と聞くと少し難しく聞こえますが、それほど考え方自体はそれほど難しいものではありません。
為替レートを決定するものは各国の通貨です。
その需給を決定する要素は、貿易、投資、旅行など多くの事項がありますが、これらの状況を把握しその変化を予測することで、為替市場における各国通貨の需給の変化を見極めようというのがファンダメンタル分析です。
もっと身近な例で考えて見ると、例えば、ゴールデンウィークに海外に行く人が今年は多いというニュースを聞いて、「海外旅行のためには外貨が必要だし、円売り、外貨買いが進みそうだな」と考えることも、ファンダメンタル分析の一つです。
このほか、米国の年末商戦が活況だというニュースを聞いて「アメリカの景気が良さそうだな」とドル買いを意識したり、「次回ワールドカップ開催地のブラジルがその特需に沸いている」という話になれば、ブラジル経済への好影響からレアル買いをしたりと、個人の生活レベルの話から世界に至るまで、様々な事象が為替に及ぼす影響を考えていくのが、ファンダメンタル分析の基本です。
株式市場の場合、投資銘柄の属する業界や産業の状況など、ある種、特別な知識を必要としますが、 FXの場合は、世界全体の経済状況をもとに相場が動いていきます。
ですので、ごく一部でしか通用しないマニアックな知識よりも、一般教養として、為替以外でも役立つ世界経済の知識が問われるでしょう。
実際には、世界中の全ての事象をくまなくチェックするのは不可能なので、為替市場と関係が深そうな項目に着目して、分析を行っていくことになります。
実際には、世界の資金需要に影響を与える各国の景気や金利の動き等が分析の中心になります。
また、大統領選などの政治的な変化、テロなどの予測不能な事件なども、難しくはありますが為替市場への影響を分析していくことも重要です。
実際の取引においては、現状を織り込んだ上で現在の為替水準が成り立っているという前提のもとで、経済指標の発表、各国政府や中央銀行の要人の発言、世界規模のニュースなどを分析して、これまで織り込んだ状況の変化や今後の変化の兆しを見極めていく作業になります(「知って置きたい経済指標」はこちらで解説しています)。
ファンダメンタル分析のメリットは、トレンドを生み出している材料をはっきりと確認できる点でしょう。
材料が明確になると、状況に変化が怒った場合でも対応がしやすくなります。 また、ニュースや経済指標は、その材料が出た直後から大きな変動をきたす場合がありますが、こうした材料によって変動した瞬間的名動きにも対応しやすいというメリットがあります。
他方、もちろんこの手法にも限界はあります。
一般投資家とプロディーラーとの情報の入手スピード差は埋めがたいものがあります。
為替に影響を与えるようなビッグニュースは、テレビなどでも確認できますが、即時情報という面では、やはり個人で不利になるは否めません。
もっとも、最近では、インターネット環境も整備され、情報面での不利はだいぶ解消されつつあります。
ただし、情報を入手できたとしても、日々の短期的な動きがそれで全て決まるわけではありません。 日中の短期的な大きな値動きは、例えば大口の投機的な注文などに反応して起こる人為的なものも多く、ファンダメンタル分析では説明が難しいことがほとんどです。
といって、中期的な動きに目を向けたとしても、そこにも限界はあります。
ファンダメンタル分析の大きな材料の一つである経済指標は、データを集めるという性質上、発表と実際の景気状況との間にタイムラグが生じ、実際の経済状況の変化による需給面の変化に気づくのが遅れてしまうのです。